2017年7月4日火曜日

日夏耿之介「塵」「青き隕石」

きょうも『転身の頌』から二つの詩を読みます。   

   塵

塵ひとつ泛びたり
日輪(ひ)はいときらびやか哉
航空騎士敢行歟
光れる天童の巡察歟

虔(つつ)しみ畏(いやま)ひて ひたすら
天来のおのが所持せざる力を頌(ことほ)ぐ

   ◇

「騎士」とは、もともと、中世ヨーロッパにおいて荘園の支配を保障される代わりに騎兵として戦うことを義務付けられた身分のことを指します。

「歟」の訓読みは、か、や。文末の助字、疑問・反語を表す助字として用いられます。「頌」には、たた(える)、ほ(める)といった訓読みがあります。

「天童」は本来、仏教の守護神や天人などが子供の姿になって人間界に現れたものをいます。


   青き隕石

白き光おびただしく放てる碧き隕石の墜落は
巷に悲鳴の花咲かせり
此時賢人来り 多く蒼人艸(たみくさ)を呼ばひて曰(い)へりき
子らよ 悲しき愕(おどろ)きもて神は爾(おんみ)の胸を燬(や)けり
出でよ 戸外(こぐわい)に趁(わし)れ 俯聴(ふてい)せよ
仰げよ 彳めよ 将た祈禱(いの)りてあれ
神はわが世の扉口(とぐち)に在(い)ませりと

   ◇

「趁」の読みは、ふつう「おう」「チン」。追う、という意味があります。「俯聴」は、「ふちょう」ともいい、うつむいて耳をすます意味です。

「蒼人艸」は、民草(たみくさ)、青人草(あおひとくさ)、すなわち、人民、蒼生、国民のことなのでしょう。人が増えるのを、草が生い茂るのにたとえた言葉。日本書紀(神代上訓)に、「葦原中国(あしはらのなかつくに)に有らゆるうつしき青人草の」とあります。

「俯聴」の「俯」には、うつむく、身をかがめて下を向くという意があります。

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