2017年6月23日金曜日

日夏耿之介「快活なVILLA」

    快活なVILLA

快活なわがVILLAの四檐(めぐり)に雨降る
新緑の初春の朝(あした)也
おもたき草木の睡眠(ねむり)も新鮮に夢めざめ
大地は 橙黄色(とうくわうしよく)に小唄(さうた)へり
力ある律動の快感哉
かかるとき
都市(みやこ)よりの少人(せうじん)らが
紅きBALCONにゐならび歌(うたうた)へるを听(き)けよかし
野の鳥は口噤(くちつぐ)みはて
性急の筧(かけひ)もいまは呼吸(いき)を呑みぬ
少人(せうじん)らよ
爾ら 無念(ぶねん) 銀声するとき
柔らかきその小胸(こむね)ふかく
滴り落つる透明の泪(なんだ)の奥ぶかく
かの所有者を幻に矚(み)む


きょうの詩には、フランス語が二つ。「VILLA」は、別荘、邸宅。「BALCON」は、バルコニー、バルコニーの手すりのことです。

「檐」は、訓読みでは、のき。屋根の下の、建物の外壁から張り出した部分。庇(ひさし)の意味で用いることもあります。

「噤」は、訓では「つく(ぶ)」と読んで、口をとじる、だまる、つぐむこと。

「筧」は、懸け樋。地上にかけ渡して水を導く、竹や木の樋(とい)。かけどい。

「銀」は、美しい白い光沢を放ち、月と関連づけて語られることも多いのですが、「銀声」は、そんな混じりけのない鋭い色彩を、「少人」すなわち子どもの叫びの喩えに用いているのでしょうか。

「矚」の音読みは、ショク、ソク。「みる」とくに、「注視する」意のようです。

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