2016年5月28日土曜日

「アルバルゴンサレスの地」⑪

詩集『カスティーリャの野』にセットで入っている散文とロマンセの「アルバルゴンサレスの地」は、前にもふれたようにストーリーは極めてよく似ています。

ただ一つ決定的に違うのは、末の子ミゲルの運命です。

散文のほうではミゲルは兄たちに殺されてしまうのですが、ロマンセでは生きながらえます。

生き続けることでミゲルは、父親の生をふたたび生きなおすことになるのです。

ミゲルは、父親と同じように幸せな結婚をして、父親が耕した同じ土地を耕します。

ロマンセの終わりは始まりへとつながり、次の世代による「再生」を予感させます。

そこにはマチャードのカスティーリャへの、すなわちスペインに対して抱いている願いが込められているように思われます。


良きものを殺してしまった「家」にあっても、そこが終焉なのではなく、次の世代へと受け継がれてゆくものが残っているのです。

詩人はそこに、希望を見いだそうとしているように思われます。

「千回も言い古された 昔話をつぶやいているよう」に、「そしてこれから千回も 繰り返すことになるだろうと」というように、カスティーリャには「澄んだ水」が繰り返し、繰り返し流れていくのです。

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