2016年5月23日月曜日

「アルバルゴンサレスの地」⑥

ロマンセ「アルバルゴンサレスの地」は、実際の出来事にインスピレーションを得て作られました。芸術性の高い創造の産物ですが、ロマンセの特徴である写実性やルポルタージュ的性格も備えています。

ヴィヌエサから遠くないところにあることになっているアルバルゴンサレスという場所は見あたりませんが、イアン・ギブソンによれば「地名を創作するうえで、ソリアとブルゴスの県境に位置するヴィジャルヴァロの村名が影響している可能性がある」 といわれます。

父親が投げ込まれ、2人の兄弟が自殺を遂げる作品の舞台「黒い沼(laguna Negra)」=写真=は、実際にウルヴィオン山麓の標高1.753m に存在します。ただし、底なし沼というのは伝説で、実際の深さはせいぜい10m程度のようです。


イアン・ギブソンによれば、マチャードがソリアにやってきた1907年春から、この付近では森林火災がひっきりなしに起こり、近くの町村で殺人や凶暴な犯罪も続きました。

マチャードは1910年秋、地域の友人たちとドゥエロ川を上って、暴風雨の中、ウルヴィオンの山頂を踏破するなどしています。ロマンセの舞台となるドゥエロ川源流へのこうした旅がきっかけとなって、「松林で覆われた地」で起こった凶悪事件をかなり注視していたようです。

「10月初旬の朝、彼はドゥエロ川の源流まで上ってみることを決心して、ブルゴスからシドネスまで行く乗合車にソリアで乗った。運転手の近くの前の列には、メキシコから、松林に囲まれた辺境にある生まれ故郷の村へ帰る“アメリカ帰り”、それに、2人の息子を連れてプラタに向かう、バルセロナから来た老いた農民が乗っていた。違う言葉を話す人たちと出あうことなくカスティーリャの草原を横断することはできない。“アメリカ帰り”はベラクルス訛りで私に話しかけた。また私の耳には、運転手と最近起こった犯罪について論じている農民の話が聞こえてきた。ドゥエロ川沿いの松林の中で、1人の若い羊飼いが人を刺し殺し、強姦までしていたのが見つかった。農民は、ヴァルデアヴェラノの金持ちの牧場主を、野蛮な悪事をした疑いようのない犯人としてソリアの刑務所に収監するように告発した。しかし、犠牲者が貧乏だったという理由で正義が信用されなかった」

と、マチャードは回想しています。

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