2016年3月13日日曜日

二つの「道程」①

     道程
 
  僕の前に道はない
  僕の後ろに道は出来る
  ああ、自然よ
  父よ
  僕を一人立ちにさせた広大な父よ
  僕から目を離さないで守る事をせよ
  常に父の気魄を僕に充たせよ
  この遠い道程のため
  この遠い道程のため

高村光太郎=写真、wiki=の有名な詩「道程」が発表され、第1詩集『道程』(1914年)が自費出版された2年前の1912年、スペインで1冊の詩集が出版されています。


アントニオ・マチャードの『Caopos de Castilla(カスティーリャの野)』です。マチャードは、日本ではそれほど知られていませんが、スペインの近代詩を開拓した国民的な大詩人。

見方によっては、日本の近代詩における高村光太郎に近い存在として位置付けることもできるかもしれません。

この詩集のなかには、スペイン人ならだれもが口ずさめる、ともいわれる民衆の間に広く浸透した「Camino(道程)」と呼ばれるコプラ(短詩)が組み込まれています。

Caminante, son tus huellas
el camino y nada más;
caminante, no hay camino,
se hace camino al andar.
Al andar se hace camino
y al volver la vista atrás
se ve la senda que nunca
se ha de volver a pisar
Caminante, no hay camino
sino estelas en la mar
(道ゆくひとよ きみの足跡こそが
道なのだ ほかにありはしない
道ゆくひとよ 道などないのだ
歩くことで 道はつくられる
歩くときに 道はできる
そして振り返ればそこに
もう二度と踏むことのない
道が見える
道ゆくひとよ 道などありはしない
ただ海のうえの航路にすぎないのだ)

ざっと読んだだけでも、光太郎の「道程」と類似点が多いことは明らかでしょう。これからしばらく、光太郎と比較しながら、マチャードという詩人について考えてみることにしましょう。

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